ゲートの中(2話)

~ゲートの先~

ゲートに呑まれた二人。視界が林に変わる。

突然、空気の味が変わった。美味しい空気。状況が飲み込めない二人は、そこが400年前であり大気がまだ科学物質で汚染されていない世界にいるという事実を知らない。 

※という事もない。浄化槽や下水道設備の整っていない400年前は街全体からほんのりウンコの臭いが漂う。それが山まで立ち上っていてもおかしくはない。現代の日本でも飛行機から降りたアメリカ人は醤油の臭いがするとまで言う。家庭の臭いは街全体にこビリつく。

 


ゲートは閉じられたが空間の揺らぎは小さく残っていた。ゲートの下にはペンダントが落ちている。恐らく事故の原因となっただろうペンダントを拾ったクロノ。

クロノは無線で現状を報告、助けを求めるも応答はなく、携帯電話を取り出すも電波も入らず、GPSも受信しなかった。

屋外でGPSの電波が受信できない場所なんて地球上のどこにも存在しない。もし故障でないとすれば、つまりは地球外、異惑星に転送されたという意味になる。等と考えているとマールから悲鳴が上がった。

頭が真ん中から縦に割れた青い肌の生物。衣服は着ているので知性はあるのかもしれないが、そいつはヨダレを流しながら迫ってくる。ここが異惑星で目の前にいるのがエイリアンなのだと自身を納得せざる終えなかったクロノ

生物から身の危険を感じたクロノはマールに逃げるよう促し、その場に残った。
だがエイリアン一体がマールを追いかけ髪を掴んだ。ポニーテールがほどける。  

マールを追いかけようとするエイリアンを取り押さえたクロノだったが、背後から二人のエイリアンが飛びかかる。背丈は小さいのに力は人間よりも強い。クロノはあっさりとマウントを取られてしまう。
クロノを取り押さえたエイリアン達は独自の言語で会話をしていた。クロノにはその言語は理解できなかったが、エイリアンはこの場でクロノを殺して食うべきかを相談していた。クロノが珍しい服を着ていた為、血で汚さないよう、まずは服を剥ぎ取ってからにしようと相談している。

その隙にクロノはエイリアンの目に砂をかけて眩まし、マールと反対方向に向かって走りだした。

クロノが勝っているのは身長差のみだったが、それを補う程の力があった青い生物は走る速度も早く、クロノは逃げ切れないと判断して橋の下に隠れた。橋の下には川が流れている。


川の上流へ向かって石を投げる。エイリアンは音のした方向へ向かいクロノを見失った。 その隙にクロノはマールが逃げた方向に向かった。


山のふもとでマールを見つけたクロノ。マールは武器を持った男に話かけられていた。話声からガルディア言語を話している男の存在について異惑星ではないと思い安心して駆け寄るクロノだった。

だが男はマールを行方不明の王妃と勘違いしていた。マールは誤解であり人違いだと説明したが、男はクロノを見るなり言った。『きっと、この男に脅されているのですね? だから別人の振りしていて…』

男はクロノを王妃誘拐の犯人だと思い込んでいた。男は妃の退路を確保するべく逃げる道筋を見る。つまり男はマールか一瞬だけ目を離した。その一瞬の間にマールは消失した。

クロノも男も何が起きたか判らなかった。男はマールが消えた瞬間までは見ていなかった。クロノはマールが消える瞬間を見ていたが、クロノはさっきまで見ていたマールの顔を思い出せなくなっていた。

目の前の男は【王妃が突然消えた困惑をクロノを捕まえるという代償行為で解消】しようとしていた。目の前にいるクロノの正体を魔族だと思い込み、。魔術にて妃を隠したのではないかと疑った。

「まさか魔族か!」

男から発せられるフィクション性の強い言葉。
 魔族とは一体何なのか。そんな疑問を考える余裕があればいい。もし男が「膝まずけ!」と指示するのでればクロノは敵意さえ向けなければ話しあい理解しあえると思って従っていただろうが、問答無用で攻撃をしてきた。

 

※この世界では魔族に呪文を唱えられる前に倒すのが魔族討伐の基本だった。この世界では魔族として疑われたら最後、余程の事がないと交渉の隙もなく攻撃される。

~中世視点~

 

 


カエル視点

 

クロノは再び全力で走った。 男は武器や防具類の装備で重さがあり、足が遅かった。

逃げるのには有利な条件は揃っていた。

 

~中世視点~

 

その頃、ルッカは青ざめていた。ルッカのブースは全世界に同時生中継されていて各国政府や国連も強い感心を抱いていた。今世紀最大の発明の披露と共に最大のトラブルを披露してしまった。どう言い訳しようか悩んでいたルッカは叫んだ。
『失敗は成功の元なのよ!サイエンスに失敗はつきものなのよ!』

いわゆる開き直。幸いクロノと被験者(マール)の死体は見つかってない。殺人罪は適応されない。
怯えなくていいのだ!そう自分に言い聞かせて平静を保つ。

 

 


一人が再度マールを追いかける。エイリアン二人はクロノの装備している物を興味深く見る。
地面にクロノは砂をかけると


2対1であり、クロノが助かる見込みが格段に増加した。 とはいえマールも放っておけない。マールを追いかける魔族にクロノは石を投げつけた。