マールの目覚め
リーネ様!
リーネ様!
リーネ様が目覚められたぞ!
「ここは…
私はベッドの上で目を覚ました。
たしか自分はルッカの転送装置で空間の歪み呑み込まれて、見慣れない山の中にいた。そこで化物に襲われ、逃げる途中に足を滑らせてそれで…
気絶したマールはリーネの捜索隊に発見され、王宮へと運ばれた。
リーネという言葉に聞き覚えがあったマール。自身に向けて400年前の王妃の名前を呼ぶ人達。
どういう事かわからないマールは、リーネじゃなくてマールだと答える。
「頭を打たれてしまったのですねリーネ様!」
「いやそうじゃなく、私はマールです。」
○
「では貴方は全くの別人? 他人のそら似?」
「はいそうです」
困惑する従者達。失態が明るみに出るのを恐れた従者達。幸い王様はまだこの場に来ていなかった。
「リーネ様が行方不明になられて既に3日たちます。誘拐であれば犯人から何らかの要求があるでしょうがそれもなく…。恐らくリーネ様は既に…。お願いします。このままリーネ様を演じては頂けないでしょうか…」
リーネの失踪はそれが誘拐であれ何であれ、国の維新に関わる問題だった。ガルディアの警備体制が弱体化している証拠なのだと諸外国に知られれば、この機に乗じて戦争を仕掛けられかねない。敵が人間であれ魔界であれ、それだけは避けたかった穏健派の取り巻きは、マールにリーネを演じ続けるように指示した。もし演じるのを拒むのであれば死んで貰わなければならないとの脅迫を受ける。
「でもリーネさんの捜索が終了してしまったら…」
「とっくに殺されている!」
「何故そんな事が断言できるの?」
「リーネ様には特別な力がありました。人間に擬態した魔族を瞬時に見分ける能力が…。その為、リーネ様は魔族にとって不都合でいつ命が狙われてもおかしくなかったのです」
○しぶしぶ承諾したマール
マールはドレスに身を包み、王と謁見する。
泣いて喜ぶ王は婿であり、気が小さい人だった。
その傍らに白髭の老人、恐らくこの世界の大臣らしき人物。その大臣から、マールはこれまでの人生で経験した事のない違和感を感じた。
マールは門の外に出る事も許されなくなった。
マールは王妃として
その為、門の周囲をうろうろして、いつ